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十字屋閉店

No.141
十字屋の 廃虚が街の 墓標かな
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幼少時代、親に連れて行ってもらう、憧れの場所。
中学時代、電車を乗り継いで行く、ちょっと冒険の場所。
高校時代、学校の帰り道に立ち寄る、時間潰しの場所。

千葉県銚子市の街のシンボルとも言える「十字屋」が本日で閉店しました。
最近地方都市で、こういった中流デパート(私はこう呼んでいます)の閉店が相次いでいると聞きます。
数十年前の世の中は、横並び感覚が全盛で、みな中流意識を持ち、
そんな大多数の「中流家庭の憩いの場」として、このようなデパートが賑わっていたのでしょう。
当時の日本は資本主義というのは建前で、実質は社会主義に近い国だったと思います。

現在は規制緩和、改革の名の元に、勝ち負けの鮮明なアメリカ型の資本主義の時代になりました。
富める者は富み、貧しいものは死にゆく、白黒ハッキリとした社会。
高級品を追い求める勝ち組か、激安大型店に群がる負け組か。
上層と下層に分断されてしまった社会で、中流デパートが生き残る余地はなかったのでしょう。

嫌な事件が続く今日この頃。
現代に生きる私たちは、ニュースショウの一幕くらいに捉え、感覚が麻痺しつつありますが、
昭和40年代あたりに生きている人が、タイムマシンに乗って21世紀の今を見ることが出来たなら、
当時思い描かれていた「夢の21世紀」とのギャップに声も出ないことでしょう。
まるで地獄絵図だと。

中流デパートができたことによって、商店街にはシャッターが降りました。
その中流デパートが閉店されることによって、街には何も残らなくなりました。
これがみんなが望んだ、理想の資本主義の姿(結果)なんでしょうか。

がみの森

by gami_no_mori | 2005-11-30 23:30 | 田舎暮らし  

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